
「綺麗事」って、きれいな言葉のはずなのに、この曲では嫌われる言葉になっている。
星街すいせいの「綺麗事」は、3rdアルバム『新星目録』のラストを飾る、初の自作詞・自作曲です。
聴いていると、完璧を求めすぎて動けなくなる自分と、諦めの言葉に傷つく自分が、同じ部屋で向き合っているように感じる。
この記事では、一人のリスナーとして歌詞の意味を整理します。
※歌詞の全文は配信サービス等でご確認ください(本記事は長文引用しません)。
基本情報
| 区分 | 項目 | 内容 |
|---|---|---|
| 楽曲 | タイトル | 綺麗事(きれいごと) |
| 楽曲 | アーティスト | 星街すいせい |
| 楽曲 | リリース | 2025年1月22日(3rdアルバム『新星目録』と同日) |
| 楽曲 | 収録 | 3rdアルバム『新星目録』(トラック11・アルバム最終曲) |
| 楽曲 | 作詞・作曲 | 星街すいせい(本人初の自作詞・自作曲) |
| 楽曲 | 編曲 | TAKU INOUE |
| 楽曲 | 時間(参考) | 約4分56秒(公式MV表記ベース) |
| MV | 公開 | 2025年5月19日(YouTube) |
| MV | 監督 | 加藤誠 |
| MV | アニメーション制作 | CloverWorks |
| ライブ | 披露例 | Hoshimachi Suisei 日本武道館 Live "SuperNova"(2025年2月1日・M4) |
| 位置づけ | アルバム | 『新星目録』のエンディング(公式発表・Billboard JAPANインタビュー) |
公式リンク
- 綺麗事 / 星街すいせい(official)|YouTube
- 新星目録|hololive公式
- <インタビュー>目指すは新時代――星街すいせいが高らかに歌う“革命”の音楽|Billboard JAPAN
- Hoshimachi Suisei 日本武道館 Live "SuperNova"|hololive公式
「綺麗事」って、この曲では何を指す?
辞書的には、きれいに見せる言葉、体裁だけの言葉、といった意味があります。
すいちゃん自身はBillboard JAPANのインタビューで、諦めたり本心を隠す言葉としての「綺麗事」に近い、と語っています。
そこで諦めたら試合終了だよ、というような曲になりました。
「もう疲れちゃうし」「現実を見ろ」——そういう言葉を聞くたびに、すいちゃんは「自分はこうならないようにしよう」と思ってきた、とも。
面白いのは、自分が配信で言う「諦めるな」も、綺麗事かもしれないと本人が認めている点です。
きれいな励ましも、受け取る側には重い。だから「嫌いだから歌う」——この曲の芯は、そこにあると思う。
制作背景
アルバムの最後に置かれた理由
『新星目録』は「それぞれの革命」をテーマにしたアルバムです。
強い提供曲が並ぶ中で、「綺麗事」だけは本人の言葉とメロディで締める構成。
Billboard JAPANのインタビューでは、2ndアルバムのときから自作をやりたかったが間に合わず、3rdで「作るしかない」流れになった、と振り返っています。
締切を超過したことも本人が笑いながら語っています。
曲のでき方(サビから広がった)
制作は、最初は打ち込みで進めようとして難航。
締切が迫ったところで、鼻歌のサビをTAKU INOUEさんに渡し、
そこからトラックを作ってもらい、メロディと歌詞を足していった——という流れです(同インタビュー)。
サビの最初のフレーズと歌詞が同時に浮かんだ、とも。
「テーマを決めてから」ではなく、メロディが先に来て、意味が後から付いた曲だと聞くと、歌詞の生々しさにも納得します。
歌詞の意味を、流れで読む
ここからは私の解釈です。
歌詞は全部はなぞらず、刺さったところだけ、私なりに読んでいきます。
1. フック──「嫌いだから歌う」
綺麗事を吐くその口が嫌いだから歌を歌うんだ
この曲いちばんのキーワードです。
言葉でごまかすのが嫌いだから、歌という別の言語を選ぶ。
ポエムじゃなくて、ロック寄りの熱量で言い切る曲だから、ここが刺さる。
2. 序盤──SNSの「寄り添い」が、実はひしめき合い
同じことばかりの日々にああ 意味を求めて寄り添い合うの
ひしめき合う カラーフィルターの奥で笑ってる
「寄り添い合う」の直後に「ひしめき合う」。
きれいなフィルターの向こうで笑っている——見た目の優しさと、内側の競争が重なっている印象です。
3. 「潔癖な思考」──きれいに見えたい自分
潔癖な思考に縛られたままで強がるくせに唇を噛む
「潔癖」は、汚れを嫌う潔癖のこと。
失敗や不完全を許せず、強がって、結局唇を噛む——完璧主義のしんどさを、すいちゃん自身の言葉で書いているように聞こえます。
Billboardのインタビューで「今回は30%くらいの出来」と本人が言っていたのも、この曲のテーマと重なる。
4. 中盤──完璧な言葉が欲しいのに、伝わらない
こんな声だって伝わらなくて
もっと完璧な言葉を紡ぎたくて
アーティスト/配信者にとって、地味に痛い一行。
声や言葉が届かないもどかしさと、それでももっと上手く言いたいという欲張りが同居している。
5. 「不完全な朝」──転げ落ちる日常
きっと間違えて今日も転げ落ちる不完全な朝
革命の前に、まず朝がある。
完璧な一日じゃなく、転げ落ちる朝を前提にしているから、この曲は希望的観測だけでは終わらない。
6. 「理想なんて」と笑う声
本音も言えない日常にはただ「理想なんて」と嘲け笑う声
現実側の声。
夢や理想を笑う言葉も、すいちゃんにとっては「綺麗事」の反対ではなく、別の形の綺麗事(諦めの言葉)として刺さる、とインタビューでは語られています。
7. ブリッジ──本当が見えなくなる
諦めを塗り重ねて「本当」が見えなくなってしまうんだ
ここが一番、感情の底を見せる場所だと思う。
何度も「しょうがないよ」と言われると、自分の本音まで曖昧になる。
綺麗事を嫌う歌なのに、本当の輪郭を取り戻したいという願いがここにある。
8. ラスト──それでも歌おう
それでも歌おう 不完全だから
最後はポジティブに見えるけど、理由が「完璧だから」じゃない。
不完全だから歌う——この曲全体の結論です。
Caramel Painの「壊れちゃっても今がいいよ」と並べると、『新星目録』の内面パートが一本の線でつながります。
MVが歌詞を補強する
公式MVは CloverWorks 制作、監督は 加藤誠 です(公式YouTube概要欄)。
音楽好きの学生、オーディションに落ちて悩む姿、アイドルとして輝く姿——複数の「すいちゃん」が登場する、と復帰配信時の報道でも紹介されていました。
歌詞の「過去の自分と今の自分」の対話を、映像で見せる構成です。
MVは2025年5月19日に公開。同日は休暇明けの復帰配信でもあり、自作曲MVの公開日としても意味のある日でした。
まずは公式MVから入るのがおすすめです。
関連曲と並べて聴くと
| 曲 | 並べると見えるもの |
|---|---|
| Caramel Pain | 内面の痛みと、壊してでも前に進む覚悟 |
| みちづれ | 痛みを抱えて歩く、別の角度の言葉 |
| ビビデバ | 外に向けた「自分で掴む」宣言 |
| 綺麗事(ライブ) | 武道館では序盤(M4)に配置され、アルバムの顔として早い段階で見せる熱量 |
アルバムの最後に収録されているのに、ライブでは前半で歌われる——「締めの曲」なのに「宣言の曲」としても機能する、不思議な一曲です。
FAQ(よくある質問)
Q1. 「綺麗事」はどのアルバム?
A. 3rdアルバム『新星目録』(2025年1月22日発売)の11曲目・最終曲です。
Q2. 作詞・作曲は本当にすいちゃん本人?
A. 公式MV・歌詞サイト表記どおり、星街すいせいが作詞・作曲。編曲は TAKU INOUE です。
本人初の自作詞・自作曲、とBillboard JAPANインタビューでも語られています。
Q3. MVはいつ公開?
A. 2025年5月19日です(公式YouTube)。
Q4. 武道館ライブでは何曲目?
A. 非公式のセットリスト整理では M4「綺麗事」 として、序盤に配置されています。公式ライブレポートでも早い段階での歌唱が紹介されています。
Q5. 「綺麗事を吐くその口が嫌い」は誰のこと?
A. 本人インタビューでは、他人の諦めの言葉と、自分のきれいな励ましの両方を含む、と読めます。
固定の一人を指す曲ではなく、自分と世界のあいだの言葉の問題として書かれている印象です。
Q6. 歌詞の「僕」「君」は?
A. 一人称・二人称が曲の中で動くので、過去の自分と今の自分、あるいは内側の声同士の会話として読む解釈が多いです。
公式に一つの正解が示されているわけではありません(個人の読み方の範囲で)。
まとめ
「綺麗事」は、きれいな言葉への反発と、それでも歌を選ぶ意志を同時に持った曲です。
改めて聴くときに意識してみてほしいポイントを3つだけ。
- 🎧 「嫌いだから歌う」 ── 言葉のごまかしへの反語
- 🎧 「潔癖な思考」 ── 完璧主義で動けなくなる自分
- 🎧 「それでも歌おう 不完全だから」 ── 完璧じゃないからこその前進
考察はあくまで一人の感想です。
今夜は公式MVをもう1回。ラストの一行が、少しだけ背中を押してくれるかもしれません。